審査請求決定事例
■20歳前障害で、知的障害の方
○相談者のお話
ご両親がご本人を伴い、埼玉障害年金相談センターに相談に来られました。
20歳になった段階で裁定請求をし、すでに障害基礎年金2級の認定通知を受けていましたが、ご両親としては、ご本人の状態は1級相当であると考えていました。
その為、審査請求手続きをしてほしい旨相談に来られました。
○審査請求に際しての行動:
裁定請求時の診断書の内容を確認したところ、年金機構が2級と認定したのは妥当であるものでした。しかし、ご両親からご本人の症状を詳細に伺い、さらにご本人の様子を観察すると、診断書の判定よりももっと重い症状である事がわかりました。
お医者様に実際の症状が十分に伝わっておらず、診断書の内容が日常生活の困難度の判定において実態よりも軽度であったことは明らかでした。
そこで、まず、審査請求を行う上で、再度お医者様に診断の見直しを依頼しました。
その結果、診断書の日常生活能力の項目を、より重度の症状が出ている時の内容を反映したものに修正した意見書(診断書)をいただくことができました。
また、ご家族からはご本人の症状を詳細に記載した陳述書を用意してもらいました。それには、実際に作業所で行っている様子や日常生活の状況を事細かに記載していただきました。
○審査請求の結果
お医者様の意見書(診断書/当初の日常生活能力を修正したもの)とご家族の陳述書、さらに自治体の知的障害の認定書の写し等をそろえて審査請求の趣旨・理由書提出したところ、年金機構から、障害基礎年金の1級に処分変更する旨、連絡が届きました。
本件は、当初裁定請求時に提出した診断書の内容に対する年金機構の判定は正しかった訳ですから、通常は、もう一度正しく症状を評価した診断書を取り直し、裁定請求をやり直すほうが一般的です。
なぜなら、「当初提出した診断書が不充分であったのに、判定後になってから後出しで診断書の内容を修正申告して、再度年金機構に判定の見直しを要求する」ことになるからです。
従って、あえて「年金機構の判定に不服を申し立て制度である」審査請求で本件の認定変更を求めることは非常に難しいことを、事前にお伝えしてありましたので、ご両親にはとても喜んでいただけました。
以上により、年金額は当初の約78万円から約98万円に増加することになりました。
■躁鬱(そううつ)症の方
○相談者のお話
ご本人が埼玉障害年金相談センターの無料相談会に予約をされて、会場の「さいたま市民会館うらわ」にお越しになりました。障害厚生年金の請求を希望されていました。
会社に勤めているときに発祥し、10年以上も躁鬱(そううつ)症を患っていました。
この間、一旦転職をされ、その転職先も数年前に退職していました。
転職および退職のきっかけは、躁状態が出た時に、金遣いが荒くなったり、暴言を吐いたりしてしまったためでした。ご本人の高揚した気分が、周囲の人にはとても傲慢で独断な態度に映り、仕事も休まざるを得ませんでした。
その反動で、退職後に鬱状態になった現在は、他人の目がとても気になって、近所の人にも顔を合せられなくなり、ほとんど外出しない隠遁者のような毎日を送っていました。
○審査請求に至った経緯
当初ご本人からの委任を受けて裁定請求した結果は、障害厚生年金3級(事後重症)でした。
しかしながら、過去2度も激しい躁状態と鬱状態の繰り返した事実と現在の日常生活状況は、障害認定基準に照らして2級相当であると判断し、ご本人の依頼を受けて直ちに審査請求の手続きに入りました。
○審査請求に際しての行動:
1.主治医から2級相当であるとの意見書をいただきました。
2.ご家族からご本人の日常生活状況についての陳述書を用意してもらいました。
3.認定要領の認定基準に照らして、2級であるべきと強く訴えた審査請求の趣旨・理由書を作成し、前記の書類を添えて提出しました。
○審査請求の結果
年金機構から処分の見直し決定の通知があり、障害厚生年金の2級が支給されることになりました。
まだ学生のお子様がいらしたこともあり、ご本人はもとより、ご家族にも大変喜んでいただけました。
この結果、年金額は、当初の約90万円から約215万円に増加することになりました。
障害年金1級を受給できたケース
相談者のお話
お会いした相談者の方は、既に障害基礎年金2級の支給決定通知を受けられた知的障害をお持ちの方のお母様でした。障害年金の請求ではよくあることですが、代理請求されたお母様としては、1級でなかったことに不満を持っておられるとのことでした。
まず、1時間以上かけてヒアリングをしたところ、障害者の方の状況として分かったことは下記の状態でした。
・先天的知的障害で、言語をまったく理解できていない。
・言葉での意思疎通は不可能で、手を握っていないと動き回ってしまう。
・一人ではトイレで用を足せないことはもちろん、「トイレに行きたい」と介助者に伝えることもできない。
・字を書く、計算をする、絵を描くといったことはまったくできない。
・既にもらっている療育手帳はレベルが最も重いもの(○A)である。
上記の障害程度であれば、1級相当かと考えられますが、診断書を見ると、実態と異なり、最重度の知的障害とは書かれていませんでした。
よく話を聞くと、家族のつきそいで、作業所に行く事ができ、帰りは、作業所のバスに乗って帰る事ができたということで、そのような診断結果であったようです。
審査請求に際しての行動
大きく以下の4つの事を行いました。
1.当センターの所長である田村が1級の障害認定基準に達している事を説明する趣意書を作成しました。
2.診断書を作成された担当主治医にお願いをし、当該障害者の方が障害年金1級に相当する旨の意見書を作成して頂きました。
3.保護者であるお母様に、障害者の困難な日常生活状況および常時介助の必要性を訴える陳述書を作成して頂きました。
4.作業所での自立支援内容の実態が「マンツーマンでの介護」であること、療育手帳発行にあたっての審査機関の判断が「最重度の知的障害」であることを立証する資料を準備しました。
審査請求の結果
上記の取り組みにより、審査請求をした結果、無事1級支給の決定を獲得することができました。これにより、障害基礎年金の等級認定が2級から1級になり、本件の障害者の方が年間でもらえる金額を約78万円から98万円に増額することができました!
障害年金の請求手続は複雑ですし、上記のように決定に不満をお持ちの方は多くいらっしゃるものです。審査請求は裁定請求結果通知が届いた日から60日以内に 実行しなければなりません。どうしようか迷っている時間はもったいないのです。一人で悩まず、お気軽にご相談ください。当事務所は毎月10名限定で無料相 談を実施しております。(お早めにお申し込みください)
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